新丸ゴとは
新丸ゴは、モリサワの和文ゴシック体「新ゴ」をもとに生まれた丸ゴシック体です。新ゴの直線的で洗練された骨格を受け継ぎながら、角を丸めることでやさしく親しみやすい表情に仕立てられました。LからUまで7段階のウエイトを持ち、見出しから店頭ポップ、サインまで幅広く使われている書体です。
誕生の背景
モリサワは1990年ごろ、和文ゴシック体「新ゴ」を発表したとされています。欧文のモダンなサンセリフに通じる直線的な骨格を和文で実現した書体として支持を広げたのが新ゴです。新丸ゴは、この新ゴを土台に丸みを加えた書体として世に出ました。
当時の丸ゴシック体市場には、モリサワ自身が展開する「じゅん」(4ウエイト)や、フォントワークス社の「スーラ」(6ウエイト)といった書体がすでに存在していました。新丸ゴはそれらに対し、LからUまでの7ウエイトという手厚いファミリー展開で登場したと語られていますが、この位置づけはモリサワ公式の発表そのものでの裏付けが取れておらず、公式資料に基づかない解説記事の記述にとどまります。
新丸ゴが具体的にいつ発売されたかについても、複数の解説記事が「1996年」という時期を挙げています。しかしモリサワ公式の書体見本ページや企業沿革ページ、さらに2007年時点のインターネットアーカイブに残る旧製品ページを確認しても、発売年そのものを明記した記述は見当たりませんでした。街のいたるところで見慣れた書体でありながら、その発売時期を裏付ける公式資料は見当たりません。
設計の意図
新丸ゴについて、モリサワは公式の書体見本ページで「『新ゴ』本来の特徴である明るく洗練された雰囲気に加えて、丸味のあるエッジがもたらすやさしいイメージと、親しみやすさが持ち味となっています」と説明しています。直線と水平垂直を基調にした新ゴのプロポーションはそのままに、角だけを丸める。骨格を変えずに表情だけを変える、という発想です。
この丸め方の考え方は、装飾書体にも引き継がれています。「新丸ゴ 太ライン」は文字のアウトラインを強調した書体、「新丸ゴ エンボス」は文字が浮き出たような加工を施した書体で、いずれも店頭ポップやパッケージ、チラシなど目を引く効果が欲しい場面のために、あらかじめデザイン処理を済ませた状態で提供されています。アプリケーション上で一から加工するより、迅速に多彩な表現へたどり着けるようにという配慮です。
2009年ごろには、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた「UD新丸ゴ」も登場しました(この発売年もモリサワ公式での直接確認はできていません)。かなの字形をより明快にし、欧文・数字は「UD新ゴ」と統一感のあるシンプルな形にすることで、誤読を防ぎながら丸ゴシック体らしい親しみやすさを保つ設計とされています。
どこで使われているか
モリサワが公式に示している採用例のひとつが、発達障害の当事者向けに職場環境の改善を支援するアプリケーション「コンダクター」(フェルマータ合同会社)です。同アプリはUD新丸ゴとTBUDゴシックを採用したと、モリサワのSDGs貢献事例のページで紹介されています。
また、モリサワ自身が発表した調査によれば、日経225に採用されている225社のIR資料(2020年7月時点の調査)のうち17社、率にして8%がUD新丸ゴを使用していました。UD黎ミンやUD新ゴと並んで、企業の開示資料という具体的な現場でも選ばれている実態が確認できます。
一方で、「富士通のスマートフォンにUD新丸ゴRが採用されている」という説明や、駅名標・案内サインでの使用については、出典が明示されていないウェブ記事に基づく情報にとどまり、事業者やモリサワ自身による公式な発表は確認できていません。丸みを帯びたゴシック体が公共サインの分野で好まれてきたこと自体はよく知られていますが、それを具体的に「新丸ゴ」と名指しした公式の記述は見当たりません。
